新型コロナウイルスの最新情報

新型コロナウイルスと動物 検査に関する最新情報 • 2020年3月時点

人の呼吸器疾患として大流行している新型コロナウイルスについて、この未知のウイルスが動物に及ぼす影響は未だ全容が明らかになっていません。ここでは、新型コロナウイルスに関してよくある質問の回答をまとめています。

※新型コロナウイルスとその感染についての情報は日々アップデートされているため、最新情報は本文の最後にある引用元を確認してください。

 

新型コロナウイルス感染症2019 (COVID-19)は中国で最初に発見され、武漢市で感染が拡大しました。

 

この感染症はSARS-CoV-2と呼ばれる新種のコロナウイルスによって引き起こされ、コウモリがその感染源であるとされます。2019年末に発生したCOVID-19は現在、世界各地に広がりを見せています。1–3

 

COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2ウイルスは人の気道に感染する固有のコロナウイルスで、これまで確認されている人や動物に感染するコロナウイルスとは異なります。コロナウイルス科は大型のウイルス科であり、このなかには人だけでなく他の哺乳類や鳥類、爬虫類に感染する様々な属のコロナウイルスが含まれます。

 

アルファコロナウイルス属とベータコロナウイルス属(人の風邪の原因となるコロナウイルスを含む)は、通常哺乳類に感染し、ガンマコロナウイルス属とデルタコロナウイルス属は鳥類と魚類に感染します。

犬や猫に呼吸器症状や消化器症状を引き起こすコロナウイルスは、アルファコロナウイルス属です。

今回のCOVID-19の原因である、人に呼吸器障害を引き起こすSARS-CoV-2は、ベータコロナウイルス属に分類されます。

 

COVID-19感染とペット

 

現時点において、SARS-CoV-2が原因となったペットの呼吸器感染症の報告はありません。現在分かっていることは、COVID-19は人に固有の感染症であり、人獣共通感染症であるとは考えられていません。1–4

 

米国疾病対策センター(CDC)でも、ペットがSARS-CoV-2を伝播するとは考えていません。

 

1 また、現在までに米国内でペットの感染例や発症例の報告はありません。

1,2  一方、香港では、感染者の飼育犬からPCR検査でSARS-CoV-2の弱陽性反応が認められた報告が1件あります。弱陽性反応が出た時点からこれまで、この犬に症状はなく、住宅外で検疫隔離されていますが、弱陽性反応は続いています。一方、もう1頭の同居犬の検査結果は一貫して陰性です。本ケースは、SARS-CoV-2が人からペットへ伝播したことを示す最初の不顕性感染事例です。

1–3,5 CDCでは、飼い主がCOVID-19と診断された場合、SARS-CoV-2の全容が明らかになるまでの予防措置として、ペットとの接触を避けることを推奨しています。 1

 

現時点における専門家からの意見として、症状のないペットに対してSARS-CoV-2の検査を実施することはお勧めしません。

2  これは、呼吸器症状のある犬、猫がCOVID-19を発症しているとは考えにくいためです。

1–4 呼吸器症状のあるペットに対しては、インフルエンザなどのより一般的な呼吸器感染症を疑って、IDEXX RealPCR呼吸器疾患パネルの利用をお勧めします。

 

SARS-CoV-2とCOVID-19についての情報は、日々アップデートされています。SARS-CoV-2の動物への感染リスクに関する最新情報は、厚生労働省や国立感染症研究所、獣医師会のウェブサイトを参照してください。

 

ペットにおけるコロナウイルス

 

SARS-CoV-2がペットに病気を引き起こすとは考えられていませんが、ペットにはペットに病気を引き起こす別のコロナウイルスがいます。犬、猫に固有のコロナウイルス感染については、IDEXX RealPCR検査を利用できます。この検査はペットが感染するコロナウイルスが対象であり、SARS-CoV-2を検出することはできません。6 この検査で検出されるコロナウイルスは種特異性が高く、人には感染しません。

 

  • 犬呼吸器コロナウイルスは、犬に感染する呼吸器感染症(犬伝染性気管気管支炎または“ケンネルコフ”)の原因となるものです。この病気は一般的に、風邪に似た症状を引き起こします。犬呼吸器コロナウイルスはIDEXX RealPCRのRealPCR犬呼吸器疾患パネルに含まれています。
  • 腸コロナウイルスは、消化管に感染して下痢を引き起こします。若齢動物によく見られますが、感染動物の多くは無症状です。犬と猫を対象とした腸コロナウイルスのIDEXX RealPCR検査は、RealPCR 下痢パネル (犬・猫)に含まれています。上述の通り、このウイルスは種特異的であるため、犬腸コロナウイルスは猫には感染しません。また、猫腸コロナウイルスも犬には感染しません。
  • 猫伝染性腹膜炎(FIP) は、猫腸コロナウイルスの突然変異によって引き起こされる、致死性で重篤な全身性炎症性疾患です。IDEXXでは、この突然変異を起こしたFIPウイルスを検出するためのRealPCR FIP検査を提供しています。

 

産業動物におけるコロナウイルス

 

IDEXXでは、産業動物に影響を及ぼす数多くのコロナウイルスに対する検査も提供しています。ガンマコロナウイルス属の鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV)は、家禽業の経済に大きな影響を及ぼします。犬や猫のコロナウイルスと同様に、アルファコロナウイルス属は産業動物に対しても軽度の消化器症状や呼吸器症状を引き起こすことがあります。この検査は産業動物が感染する各種コロナウイルスが対象であり、SARS-CoV-2は検出できません。また、この検査で検出されるコロナウイルスは種特異性が高く、人には感染しません。

 

  • 鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV) は、鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV) は、若齢鶏を中心に急速に広がる気管支疾患を引き起こします。成鳥の雌鶏が感染すると、産卵数の減少や品質の低下が見られることがあります。IDEXX のエリーザキットは、IBVに対する抗体を調べることができます。
  • 豚の腸内コロナウイルスは、複数の種が存在し、豚に感染して呼吸器症状や消化器症状を引き起こします。このなかには、伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)が含まれます。症状は軽度または不顕性であることがあります。
  • 牛コロナウイルスは、子牛に下痢を引き起こすことがあります。成牛には、血液の混じった冬季赤痢、軽度の呼吸症状、生産性低下を引き起こすことがあります。

 

引用文献

 

  • 米国疾病対策センター(CDC). 新型コロナウイルス感染症2019 (COVID-19) cdc.gov/COVID19. 2020年3月5日時点.
  • 世界保健機関(WHO). 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大. who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019. 2020年3月5日時点.
  • 米国獣医師会. COVID-19: 獣医師が知っておくべきこと.  avma.org/coronavirus. 2020年3月5日時点.
  • 世界小動物獣医師会(WSAVA). 新型コロナウイルスとペット:WSAVA会員へのアドバイス. wsava.org/news/highlighted-news/the-new-coronavirus-and-companion-animals-advice-for-wsava-members. 2020年3月5日時点.
  • ペットの犬におけるCOVID-19の低水準感染 [新規リリース]. 香港: 香港政府特別行政区, 2020年3月4日.  www.info.gov.hk/gia/general/202003/04/P2020030400658.htm. 2020年3月5日時点.
  • COVID-19 RealPCR検証試験: BLASTの遺伝子配列分析との交差反応性研究. 2020年3月. アメリカ合衆国メイン州, ウェストブルック, IDEXX Laboratories社の最終保存日.
小動物における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報提供
COVID -19 は 中国で最初に発見され、武漢市感染が拡大しまた。
小動物新型コロナ.pdf
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2013年8月28日

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